ドリッド便り

不定期的にマドリッドの春夏秋冬の様子をアップしてまいります。

  • michiko18

コロナウイルスとの闘い



今、スペインはかつて経験したことのない非常事態の中にあります。

実際、マドリッドに住んでいる私自身もこの1週間に起こった事態を現実として信じられない思いです。

15日零時以降、正当な理由がない限り、すべての国民は一切外出禁止です。

ここに至る経緯を少しお伝えしてみたいと思います


3月9日から18日までの10日間でスペインのコロナウイルス感染状況は驚くべきスピードで悪化し、まったく予想もできなかった事態となっています。3月初めあたりまでは、スペインにとって日本は感染者の多い国であり、スペインに来る日本人はある種の警戒感を持って見られていました。しかし、3月9日からの1週間でスペインの感染者数は驚異の増加をたどり、あっというまに日本と逆転、今この記事を書いている18日夕方の時点では

日本:(ダイヤモンドプリンセス関連を含む)感染者数:1578  亡くなった方の数:36

スペイン:感染者数:13910 亡くなった方の数:624

グラフで見るのが一番わかりやすいので、以下の二つのページを参照するとよいかと思います。

こちらはヨーロッパの国々の感染者増加の比較

https://elpais.com/sociedad/2020/03/17/actualidad/1584436648_230452.html

こちらは世界の国々の感染者増加の比較

https://elpais.com/sociedad/2020/03/16/actualidad/1584360628_538486.html





具体的に時系列で書き出してみますと:

●2月25日ころから感染が拡大し始め、感染の疑いを心配する市民に専門の電話番号が案内される。

●しかし、まだまだ危機感はなく、3月8日の世界女性デーにはスペイン各地で何千人単位のデモなど多くの人が集まるイベントが行われた。後になってこれが感染拡大に影響したといわれるようになる。

●3月に入り、イタリアで感染が爆発的に広がり、3月10日イタリアからのフライトをすべて運休するも、入国禁止などの対策はとらず。

●3月9日あたりから感染者数が爆発的に増加、毎日千人単位で増え続け、医療機関に患者があふれる。

●3月15日から19日に予定されていたバレンシアの火祭りも7月に延期決定。

●3月12日夜、首相が国民に対しEstado de Emergencia(非常事態)を宣言、不要不急の外出自粛や、1000人以上人が集まらないよう呼びかける。これを受けて国営のモニュメントやミュージアム、宗教モニュメントなどが続々と閉鎖となり、ラ・リーガをはじめとするすべてのスポーツイベントの中止が決定される。

●3月13日夜、首相が国民に対してEstado de Alarma(警戒事態)を宣言し、国家が必要に応じて様々な分野での強制執行を可能にする政令が準備されていると発表。

これを受けて、17ある自治州の政府の中でマドリッド州、バレンシア州、ガリシア州、カタルーニャ州などが次々に「外出と移動の自粛、すべての飲食店の閉鎖、食料品スーパーと薬局など以外のすべての店舗の閉鎖を勧告」 する条例を発令。

●3月14日21h00過ぎ、首相が国民に対して、Estado de Alarma(警戒事態)に入ったことを宣言し、それに付随する政令が間もなく発効すると発表。

●3月15日零時、政令が発効し、特定の例外を除くすべての人の外出と移動が禁止された。飲食関連施設、文化娯楽施設はもちろんのこと食料品、薬、衛生用品など不可欠なものを販売する商店以外はすべて閉鎖。行政関連施設もすべて閉鎖。警察と軍が監視し、違反するものは罰金や逮捕など処罰が適用される。

●16日、この状況を受けて、航空便の減便や運休が始まり、ホテルの閉鎖も始まる。

●17日零時より、陸路でのスペイン入国が禁止される(スペイン人およびスペインに居住する外国人や書類で入国の必要性を証明できる人は除く)

●17日20h00過ぎ、EUがEU圏外の国からEUへの入国を30日間停止することを決定し、即時発効。

●この間、日本外務省からの危険レベルも上昇。16日の時点でスペイン・マドリード州,バスク州及びラ・リオハ州がレベル3(渡航中止勧告)となり、17日にはナバラ州もレベル3となる。

●18日日本政府がスペインからの入国者制限を決定:

過去14日以内にイタリア,スイス,スペインの一部地域マドリッド、バスク、リオハ、ナバラ)及びアイスランド全域に滞在していた方を対象として,本邦入国(帰国)時にPCR検査を実施する等の措置を開始。検査結果が出るまで6時間程度の待機が必要であるほか,検査結果が陽性の場合指定の医療機関に入院,陰性の場合も保健所による健康フォローア、プが必要。また,入国後,自宅を含む滞在場所での待機も要請され、空港から待機場所までの移動には,公共交通機関を利用できない。




このスペインの警戒事態政令は、国民が自宅を出ないで、人の接触を断つことで新たな感染のリスクをゼロにし、感染者の増加率を少しずつ減らしていくことを目指しています。感染者が急激に増え、治療を必要とする人が病院にあふれる中、医療の現場では医療関係者が必死に戦っています。そんな時、私たち一般市民ができることは、自宅を出ず、きちんとした食生活をし、適度な運動をして、免疫力を維持し、病院へ行く必要のない生活を送ること、それに尽きます。

誰に強制された訳でもないけれど、毎晩、20h00になると街中の家々のテラスや窓からみんなが一斉に拍手を送ります。中には口笛を吹いたり、鍋やフライパンを叩く人もいます。これは医療の現場で戦う人たちに対する感謝と激励のメッセージです。

プロの声楽家やミュージシャンたちが自宅のテラスからはアカペラの歌声でこの拍手のメッセージをさらに素敵なものにしているケースもあるようです。


さて、ひとつ、どうしても考えてしまうことがあります。

日本は2月初めからすでに感染者が出て、日本全国に感染者が広まっていましたが、グラフでもよくわかるように、他の国々と比べての感染者数の増加を示すラインが緩やかで、死者数がずばぬけて少ないのです。

これは注目に値すると思いますが、なぜなのでしょう?

学校閉鎖は断行しましたが、スペインを始めとする欧州諸国のような「外出移動禁止令や国境封鎖」をすることもなく、飲食店や商店も開いていて、公共交通機関を使って仕事に行くこともできるという状況の中で、爆発的感染拡大がないというのはなぜなのでしょう?

あくまでも私個人の考えですが、一つの理由として、公衆衛生に関する文化の違いが考えられるかと思います。私たち日本人は子供のころから手洗い、うがい、マスク着用など、骨の髄までしみついている気がします。このコロナウイルスの感染のない時でも、日本の病院では看護師さんなどが普通にマスクをしていますが、ここスペインでは感染リスクのありそうな医療従事者でもマスクをしているのはほとんど見かけません。一般市民に至っては、すごい咳やくしゃみをしていてもマスクをする人は皆無です。例えば、かつて私の父がお世話になっていたところもそうでしたが、日本だと特養など高齢者施設では、特に風邪や感染症の流行がなくても基本プロトコルとして、施設を訪れる人はまず自分の名前と住所を記入し、手洗いをしてマスクを着用するのが普通ですよね。万一の場合を想定して、リスクをできるだけ排除するプロトコルが確立されている例だと思います。

日本の感染者増加ラインが緩やかなカーブから平坦な線になることを祈っています。





さて、こちらスペイン、普段はものごとのこだわらず、おおらかな国民、挨拶はキスにハグ、だからこそ感染者増加が急カーブを描いてしまったのかも知れません。でも、やるとなったら連帯感の強いスペイン人、「家にいよう」という意味のQuedata en casa(ケダテ・エン・カサ)というスローガンの元でみんなが一致団結すれば、きっとこの戦いを制することができると信じています。


このコロナウイルス災禍が世界中で一刻も早く収束することを祈ります!


挿入した写真は外出禁止令が発効する前にマドリッドのあちこちで見つけた春の訪れです。人間は弱いですが自然はすごいですよね。

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